ペットとして人気もあるクサガメは、川や湖、公園や神社の池など多くの場所で見かけることがある日本人にとって身近なカメの一種です。
また、クサガメを長く飼育していると人にも慣れる事が多々あり、TwitterなどのSNSでもその様子を投稿している方も多くいます。
今回はそんなクサガメを特徴や飼育方法と気をつけるポイントなどを解説していきます。
クサガメの特徴
クサガメは水棲のカメで、主に流れが速くない川辺や湖沼などに生息しています。
甲羅は比較的平らで、中央と両端にキールと呼ばれる頭部から後部にかけて山なりに尖っている線状の部分があります。
甲羅の縁には尖った部分が少なく、全体的になめらからで丸みを帯びた卵型をしています。
甲羅は黒褐色の個体が多く、腹部の甲羅には細くて黄色の線が入っています。
首元には黒色をベースによりはっきりとした黄色のラインがランダムに入っています。
クサガメは臭亀と書きます。
クサガメは臭亀と書きますが、クサガメは危険を感じると後ろ足の根元になる臭腺と言う部分から、生ごみのような悪臭を放ちます。
これは威嚇のために放つため、人に慣れたクサガメがこの臭いを放つことはまずなく、野生のクサガメを捕獲したときなどに臭いを放ちます。
飼育していて元野生のクサガメではないのに臭う場合は、クサガメの放つ臭いではなく飼育水の水質が悪化している場合が多いので注意が必要です。
クサガメは実は外来種
冒頭にも書きましたが、クサガメは在来種ではなく外来種です。
クサガメは明治時代には、北海道を除く日本各地に生息していたため在来種とされてきましたが、2010年に外来種であることが判明されました。
また、日本の在来種であるニホンイシガメとの交雑も確認されており、ニホンイシガメの生息域にクサガメが生息しているのが問題視されています。
クサガメの大きさ、寿命
ペットショップやホームセンターでは小さいクサガメ(ゼニガメ)が多くみられますが、クサガメはオスは20cm、メスは30cm以上の大きさにまで成長します。
またクサガメは、寿命も長く20~30年以上生きます。
大きくなって飼育が出来ないなど無いよう、飼育する際はよく考えてみてください。
大きくならないカメを飼育したい方は、ミシシッピニオイガメやカブトニオイガメなど生体でも15㎝以下のカメもいますので、そちらのカメの飼育も検討してみても良いかも知れません。
クサガメは屋内で飼育するか屋外で飼育するか
クサガメは基本的には屋内、屋外どちらでも飼育することが出来ます。
しかし、クサガメは冬には冬眠しますが、子ガメは体力が少なく冬眠をさせるにはリスクが大きいため屋内で保温して冬眠させないで過ごさせるのをお勧めします。
また、クサガメにはアライグマやカラスなどに襲われる可能性もあるため屋外で飼育する際は飼育容器に網などでフタをするなどして害獣対策をする必要があります。
クサガメを飼育するのに必要な物
飼い方によって多少変わりますが、最低でも飼育容器、陸地は必要ですし、屋内で飼育するならバスキングライトやろ過フィルター、冬場冬眠させないのであれば水中ヒーターなども必要となってきます。
飼育容器
クサガメを飼育する際は飼育容器は必要不可欠と言ってもいいでしょう。
クサガメの飼育で使える容器は、次の通りです
1、水槽
2、トロ舟やプラスチック製のタライ
になります。
子ガメのうちなら100均で販売されている容器でも代用することが出来ます。
しかし、最終的には90×45cmの大きさの水槽が必要となりますので、クサガメの成長によって変えていく必要があります。
ホームセンターやペットショップでよく見るカメの飼育セットは45×30cmの大きさなので、この大きさの水槽なら飼育するクサガメが1匹であれば、1年くらい使用することが出来ますので、先ずはこの飼育セットで飼育して90×45cmの大きさの水槽、もしくはそれくらいの大きさのトロ舟やプラスチック製のタライに買い替えるのがお勧めです。
陸地
クサガメは陸地に上がりビタミンD3の形成や皮膚病予防のため日光浴をします。
つまり、陸地が無いとそれが出来ず病気などの体調不良の原因となります。
クサガメの陸地はレンガや市販されている物が多く使われ、中には100均で販売されている物でDIYする方もいらっしゃいます。
また、水に沈めるタイプの他にも、カメの浮島などの名前で浮くタイプのものも販売されています。
バスキングライトなどの照明
上記にも書いた通り、クサガメは陸地に上がりビタミンD3の形成や皮膚病予防のため日光浴をします。
屋外であれば自然の太陽光で日光浴をすることが出来ますが、屋内だとそれも難しくガラス越しで太陽光を浴びせようとしても、ガラスはビタミンD3の形成に必要な紫外線をほぼ通さないため、効果は期待できません。
また、クサガメは変温動物であるため自然下では、体を動かせるように太陽光で体を温めていますが、飼育下でも体を温められる場所(ホットスポット)が必要となります。
そこで必要となってくるのが、紫外線ライトとバスキングライトです。
可能であれば、2つとも揃えるのがクサガメにとってはベストですが、紫外線ライトと言っても紫外線を出せる量は太陽光には敵わないので、紫外線ライトは使わずたまに自然の日光で日光浴をさせてあげるのもお勧めです。
バスキングライトは、クサガメが体を温めるため必要となってきます。
室温が高ければ必要ないかと思われるかもしれませんが、クサガメが体を温めるため30~35℃必要となりますので、それをバスキングライトで対応するため必要となってきます。
また、紫外線ライトとバスキングライトが一体となったものも販売されているため、どちらも揃えたいけど片方しか買えないなどの理由がある方には、そちらもお勧めです。
また、ライトを使用する際にはソケットも必要となりますのでご注意ください。
ろ過フィルター
毎日水替えをするのであれば必要ありませんが、ろ過フィルターは、飼育水の悪化を防ぎ水替えサイクルを減らす目的で使用します。
しかし、クサガメを始めとするカメ全般は驚くほど水を汚すのでろ過フィルターの種類によっては気休め程度にしかならない場合もあります。
大人のクサガメの飼育でろ過フィルターを使う場合は、上部フィルターた外部フィルターなど、ろ過能力が高いろ過フィルターを使用するのがお勧めです。
水中ヒーター
クサガメの飼育では水温を25℃くらいに保つのが理想です。
そこで必要となってくるのが水中ヒーターです。
この水中ヒーターには2種類あり、水温が上昇し過ぎないようにサーモスタット付きのもの、またはサーモスタットに接続して使用するものがあります。
間違ってもサーモスタットの接続して使用する水中ヒーターをサーモスタットなしでは使用しないようにしてください。
水温が上昇し過ぎて、クサガメが死亡する恐れもあります。
また、水中ヒーターは水量に合わせてワット数を選ばなくてはいけませんので、飼育環境に合った水中ヒーターを選んでください。
水中ヒーターの選び方については次の記事を参考にしてください。
クサガメのエサ
野生下でクサガメが食べるものは次の通りです。
・魚
・昆虫
・甲殻類
・水草
しかし、飼育では人工飼料と言うカメにとって理想的な栄養バランスのエサがありますので、その人工飼料を与えるのがお勧めです。
人工飼料と言っても、100均で販売されている物から高級なものまで幅広くあります。
その中で人気があるのが、テトラレプトミンシリーズやカメプロスシリーズです。
色々試してカメの好みのものを探してみるのもお勧めです。
エサの頻度は子ガメのうちは毎日、成体の場合は1~2日に1回のペースが目安です。
クサガメの世話について
クサガメの世話は次の通りです。
1、エサやり
2、水替え
3、健康状態の確認
それぞれ解説していきます。
エサやり
上記にもありますが、エサの頻度は子ガメのうちは毎日、成体の場合は1~2日に1回のペースが目安で、エサの量はカメの頭くらいの量が目安です。
人工飼料がメインになりますが、たまに乾燥エビやイトミミズなどをオヤツ感覚であげてもいいでしょう。
それ以外にもとカメのおやつは種類があり、カメパンやカメぴゅーれといった商品もあるので、興味のある方は試して見てください。
ちなみにカメのごちそうパンは、小さいカメにそのままあげても、食べることが出来ないのでちぎって水でふやかす必要があります。
水替え
カメは驚くほど水を汚すので、水替えの頻度は、ろ過フィルターを使用しない場合は全量を毎日+汚れていたら水替えになります。
ろ過フィルターを使用している場合、使用しているろ過フィルターの種類にもよりますが週2~3回の水替えが必要になってきます。
また、水替えを長期間しないでいると水質悪化が原因となり、病気などを引き起こしてしまいます。
健康状態の確認
普段どんなにきちんとお世話をしていたとしても、病気が発生してしまうことがあります。
そのため、健康状態の確認が必要となるわけです。
健康状態をチェックするポイントは次の通りです。
1、食欲はあるか
2、皮膚は白くなってないか、又は赤く爛れていないか
3、目は腫れていないか、きちんと白く濁っていないか
4、甲羅に出血が無いか
食欲がない原因として考えられるのは
1、水質悪化
2、水温、室温(気温)が低い、または高すぎる
3、病気
などが考えられます。
1,2ともに問題ないようであれば、病気の可能性もあります。
何日も全くエサを食べないようであれば、病院で診察してもらったほうが良いでしょう。
他の症状に関しては、判断が難しいの動物病院で診察してもらうのが確実です。
冬眠について
クサガメは、冬を越すために冬眠することができます。
肺で呼吸しますが、水の中でも土の中でも冬眠することができます。
ですが、飼育下においては冬眠はあまりお勧めはしません。
その理由として、冬眠させる場合は環境をしっかり作り、体力もしっかりつけさせないと冬眠したまま死んでしまうことがあります。
特に体力が少ない子ガメは冬眠を失敗しやすい傾向があります。
冬眠中に一時的に気温があがり冬眠から覚めてしまうと再び気温が下がった際に弱ってしまうことがあるため、冬眠させる際はなるべく、飼育スペースを気温の変化の少ない暗所に移します。
そこに、布団や発砲スチロールなどを被せて二重にしてさらに暗く気温を保つようにします。
水の中で冬眠させる場合は、水が凍ってしまうことがあるので、水温を5度前後に保つように管理してます。
また冬眠中も水が蒸発して少なくなることがあるので、少なくなれば足し水が必要です。
まとめ
クサガメは、人にも慣れて比較的飼いやすい種類のカメではありますが、大きくなり、長く生きるカメなので、飼う前にしっかり飼育環境を整えられるか、大きくなっても飼えるか検討をしてください。
また、途中でなんらかの理由で飼育し続けるのが難しくなった場合は環境保全、飼っている子のためにも放流するなどせず、飼ってくれる方を探すなどの対応をしてください。